極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
広報部のみんなとは、折にふれメールやSNSで連絡を取っている。

彬良くんは、同僚で日本人とのハーフで日本語がしゃべれるニックと親しくなって。ときどき家に招いて、三人で食事をしたり、と異国の地で二人きりで過ごしているわけじゃない。

それともう一つ———

「今日のユニオンスクエアのマーケットって、記事になるかな?」
って彬良くん。

「どうかなぁ。写真は撮るつもりだけど、そこまで珍しいものがあるわけじゃないから」

わたしは今、Eurekaの公式ホームページの中で、『特派員SのNY便り』というコーナーを持っている。香織さんのお願いというのは、そのことだった。特派員という響きが、くすぐったいのだけど。

「ええー、わたしなんか無理ですよ」
「そよかちゃんだからお願いしてるの。観察力が細かいし、議事録まとめるのもいつも上手だったから」
思いがけない申し出だったけど、今は引き受けてよかったと思ってる。

Eurekaニューヨーク店の様子だけじゃなくて、わたしがこの街で見たこと聞いたこと感じたことを、自由に記事にさせてもらっている。

前回は、ニューヨーカーのあいだで密かなブームになっているチャコールドリンクについて、レポートした。お小遣い程度だけど、原稿料もいただいている。
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