極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
周りには多忙の中で重責を抱えて、戦うように働いている人たちがいて。

比べてしまえば、わたしは小学生レベルのアシスタントで。

一人前の称号を得たいのか。周りに認めて欲しいのか。それ以上にたぶん、自分で自分を好きになりたいんだと思う。
何にもできないわけじゃないんだって。

だけど———そこに垂らされたのは、まさしく蜘蛛の糸だった。
つかんでしまったら最後、絡めとられて逃れられなくなってしまう。それはもう確信といっていいもので。

なんだかんだ彬良くんのことを知ってるんだなと思うけど。
わいてくる感情は、恋のときめきとはほど遠くて、諦めに近い。

「結婚を前提に———」口にしたことを違える人じゃないから。
本気なんだろうけど、でも、なんでわたしなんだろう。

そよかちゃんどうしたの、香織さんに声をかけられて、ようやく我に返る。
「ぼうっとしちゃって」

す、すみません、と慌ててデスクに戻る。
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