極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました



うわっ、大人の店って感じだな、内心つぶやく。

金曜の夜。
終業後にこのあいだのカフェで彬良くんと待ち合わせをした。タクシーに乗ると、彼は運転手さんに西麻布と告げた。
到着したのは住宅街の一角に、ひっそりといった様子でかまえているイタリアンレストラン。

出迎えた黒服に名前を告げると、奥まった窓際の席に通される。
他のテーブルとの間隔が広くとられて、上席なんだとわたしにも分かった。

「会うなら飯でも食おうよ」
時間を作ってほしい、と彬良くんにメッセージを送ったところ、そう返ってきた。
おしゃれしてきてよかったなぁと、少しだけ胸をなでおろす。

今日は髪も内巻きにして、コンサバなワンピースでまとめてみた。
香織さんに「あらそよかちゃん、どうしたの今日は、デート?」なんて目ざとく訊かれたけれど。

「ち、違いますよー、学生時代の友達と会うんです。おしゃれな子だから、こっちも気合い入れないと」
慌ててごまかした。

「そういう友達って刺激になるよねー」
ってあっさり返ってきた。
だいたい周りの恋愛事情をあれこれ探っているほど、香織さんたちは暇じゃない。
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