極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「彬良くんはそうやってなんでもスマートにこなせるのに、なんでわたしと付き合いたいなんて思ったの?」

ようやくこのところ何度も頭の中で繰り返していた問いを、口にのせることができた。
どうしても解けない疑問だった。

「俺にはそよかしかいないし、そよかには俺しかいないだろ」
彬良くんの答えは、いつもながら簡潔だったけど。

そんなことないでしょ、と思わず反論が口をついて出る。
「彬良くんなら誰だって選べるのに。それに大学時代に付き合ってた人もいたんでしょ?」

噂で聞いただけで、会ったことはないけれど。

「何年前の話だよ」と彼は少しあきれ顔だ。
「あれは、反発してたっていうか・・」

「反発?」

気まずそうに手をこすり合わせて、「うちの母親が、俺とそよかがくっつくことを期待してるのを感じてたから。周囲の思い通りになるのがしゃくで」

彬良くんらしいといえば、らしいのか。

「それでいいのか? 世間が狭すぎるんじゃないのかとか、そんな気持ちもあって、告白してくれた子と付き合ったりもしたけど。今思えば、相手には悪いことしたな」

「そうだったんだ」

「まぁ、そんな過去もあって、そよかじゃないとダメなんだなって結論に達したわけだけど」

喜んでいいのかな・・・でもなぁ、それこそ赤ちゃんの頃から知ってる幼なじみと、なんだかんだ気心が知れてるからくっつく、って彬良くんらしくない安易な選択じゃないかな。
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