極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
彬良くんと幼なじみと知られても、それ以上探られないのはありがたいけれど、そんな大人な彼女たちがまぶしくてしょうがない。

そんなわたしの今日の主な仕事は、宛名書きだ。

DMの管理もプレス業の仕事の一つ。
送付先はランク分けされて、それぞれリストが作られている。

うちの商品を贔屓にしてくれているモデルさんや、影響力のあるファッション評論家、雑誌の編集者といった人には、北川さんや香織さんが自ら手紙をしたためる。
宛名も文面も全て印刷ですませる葉書は、かなりの枚数になる。

わたしがやっているのは、中ランクの封書の宛名書きだ。宛名だけでも手書きにすることで、丁寧さをアピールしている。

リストとにらめっこしながら、間違いがないように一通一通書いてゆく。

「どうそよかちゃん、進んだ?」
いつのまにか電話を終えた香織さんに声をかけられる。

「あと半分くらいです」

「あんまり根つめなくていいよ、肩こるでしょう」

「そんな、大した仕事じゃないですから」
宛名書きくらい。
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