極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「三崎さんのも悪くなかったんだけどね。毎年パリで開催されてるヤングファッションデザイナーズプライズで、最優秀デザイナーに選ばれたミッシェル・クーとコラボする企画。ミッシェルは、業界の大御所たちも絶賛の逸材だし、彼のエッジの効いた感性はうちのブランドのスピリットとも通じるところがあるしね。
うちだけの限定品をデザインしてもらえば、マスコミが飛びつくこと間違いなし。華やかで話題性のある企画ではあったんだけど」

どこか節をつけるように、香織さんの口から語られる内容は、同じ会社のことなのにどこか遠い世界の話のようで。

「ただ、海外の人気デザイナーとのコラボっていうアイディア自体は、正直ありきたりなのよね。打ち上げ花火みたいなもので、一時的な話題にはなるけど。
向こうのエージェントとの交渉やら、ライセンス料やらで利益なんてないようなものだし。

そこへもっていくと、王子の【TSU・KU・RO・U】プロジェクトはやっぱり秀逸だわ。『繕う』と『創ろう』をかけて、主に30代以上をターゲットに、手持ちの服の手直しやリメイクを提案するの。請け負うのは、無名だけど確かな技術と情熱を持っている職人たち。
エコは現代の重要なテーマだし。派手さはないけど、訴求力と説得力は群を抜いてたから。
最後は社長が決めたっていう話」
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