極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
そよか、とそのタイミングで彬良くんがわたしの名を呼んだ。
肩に置かれた手は、まるで壊れ物に触れるようにやさしかった。



「急だから散らかってて悪い。ふだん人を入れることって、ほとんどないから」

「あ、うん・・」
言いながら、どのへんが散らかってるんだろうと思う。

なんとなく想像していたとおり、彬良くんが住んでいるのはわたしの小さなマンションとは比べ物にならないくらい立派な高層マンションだった。
広々した部屋に、趣味のいい家具や調度品が配されている。

「ちょっと雰囲気がご実家に似てるね」

「そうかも、お袋の店で選んだものもあるから」

彬良くんのお母様はインテリアショップの店長を務めているから、センスの良さは納得だ。

それにしてもどうしてこんなことに。
彬良くんの言葉に甘えて、とりあえずの着替えと身の回りの物をスーツケースに詰め込んで、こうして来てしまったけど。

幼なじみとはいえ、今はお付き合いしている人で、そして一人暮らしの男の人の家に泊めてもらうって・・・
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