極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「使ってない部屋はあるけど、客用のベッドまではないからな」

リビングでそう説明される。
「俺のベッド、マットレスの上に高反発タイプのパッドを敷いてるから、俺はとりあえずそれを床に敷いて寝るよ。ソファよりそっちの方がいいと思う」

「えっ、それならわたしが床で寝るよ」
居候の身で、ベッドを譲ってもらうのは気がひける。

「彼女を床に寝かせたくないんだ、俺は」

初めて彬良くんの口から出た「彼女」という呼び方、「床に寝かせたくない」っていうストレートな言い方に、胸がきゅうっと縮んで返す言葉を無くしてしまう。

自然な動きで彬良くんが近づいてくる。同時に伸びてきた腕が、わたしを捕える。
気づいたら、彼の腕の中にいた。

「あ、彬良くん、どうしたの・・」
幼さを装って、分からないふりをして、この場をやり過ごせたらいいのに。そう願ってしまうわたしは、まだ彼に甘えてる。
都合よくわがままを言える幼なじみのポジションを失いたくない。臆病で卑怯な心根なんて、彬良くんはお見通しだろうけど。
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