極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「なにが?」

分かっていながらとぼけてくる彬良くんは意地悪だと、腕の中でうつむいて唇をかむ。

そんなに力を入れているわけでもないのに、回された彼の腕は力強くて、とても解けそうにない。

そよか、と優しく名を呼ばれる。頭の後ろに回された手が、くしゃっと髪をかきまぜる。
「順番が狂ったな」

「じゅ、順番!?」

「うん。デートして、キスしてっていう段階をちゃんと踏みたかったけど。アクシデントで、いきなり一緒に住むことになっちゃったから」

「うん・・」
付き合うってそういうことだよね、やっぱり。

「正直、一緒に寝たいけどさ、俺は男だから」

なぜだか胸が痛む。そんなこと口にしないでと言いたくなる。
彼の指がわたしのあごにかかって、上を向かされる。

「なんだけど、そよかの気持ちも分かってるつもりだし。無理強いするつもりはないから」

彬良くん・・・

「なかなか急に男として見ろって言われても、難しいだろ」

うなずきたいけど、上を向かされてるからあごがわずかに上下しただけだった。
< 60 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop