極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
デザイナーになりたい、なんて果てしない夢をみたこともあったけど、大学生になる頃には現実が見え始めて。
それでも就職活動はアパレル系にしぼって、何十社も応募した。

ずっと憧れのセレクトショップだったEurekaから内定をもらった時は、大げさじゃなく飛び上がって喜んだ。

憧れていた職場で、チームワークも良好で働けているのに、それなのに・・・

気づけばキーボードを打つ手が止まっている。録音アプリを慌てて停止した。

「はぁ・・・」
誰も聞いていないのをいいことに、ため息がこぼれる。

プレス、デザイナー、店舗スタッフ、バイヤー・・・会社には溢れんばかりのファッションへの情熱と才能を持った人たちが、ひしめいていて。
そんな一等星のような人たちの仕事ぶりを間近で見ていると、わたしの存在なんてその周りを取り巻く星くずみたいなものだった。

ほおづえをつきながらマウスを動かして、一つの動画を画面に呼び出す。

もう何十回も見て、ほとんど暗記してしまっている短い動画。
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