極悪ワンコの好きなヒト
第1章*年下のオトコノコ
あまいあまい君がすき
この高校で、彼――瀬上伊吹(せがみ いぶき)を知らない生徒は、誰もいなかった。
「今日も可愛いぃぃぃ」
「マジ癒し」
伊吹くんが廊下を歩くたびに、たくさんの吐息が舞った。
伊吹くんの笑顔を見た人はみんな、自分のSNSに『伊吹くんの笑顔クソ可愛い』と綴った。
伊吹くんは男子からも女子からも。
先生からも食堂のおばちゃんからも愛された。
裏庭に住み着いている野良犬は、1匹から9匹に増えた。
みんなからの視線を集めてしまうせいで、学校に居場所がないのか――。
伊吹くんは、幼馴染だという双子と共に、裏庭でひっそりと昼食をとっている。
きっと優しい伊吹くんの事だから、裏庭でコッソリ、野良犬にお弁当を分けてあげているんだろう。
だから野良犬の数が増えたんだろう。
咲き誇る桜の花びらに微笑み、小池で泳ぐ鯉に「こんにちは」と手を振り、甘い甘い“いちごみるく”を美味しそうに飲む伊吹くん。
そんな伊吹くんに、学校中のみんなが恋をしていた。
「今日も可愛いぃぃぃ」
「マジ癒し」
伊吹くんが廊下を歩くたびに、たくさんの吐息が舞った。
伊吹くんの笑顔を見た人はみんな、自分のSNSに『伊吹くんの笑顔クソ可愛い』と綴った。
伊吹くんは男子からも女子からも。
先生からも食堂のおばちゃんからも愛された。
裏庭に住み着いている野良犬は、1匹から9匹に増えた。
みんなからの視線を集めてしまうせいで、学校に居場所がないのか――。
伊吹くんは、幼馴染だという双子と共に、裏庭でひっそりと昼食をとっている。
きっと優しい伊吹くんの事だから、裏庭でコッソリ、野良犬にお弁当を分けてあげているんだろう。
だから野良犬の数が増えたんだろう。
咲き誇る桜の花びらに微笑み、小池で泳ぐ鯉に「こんにちは」と手を振り、甘い甘い“いちごみるく”を美味しそうに飲む伊吹くん。
そんな伊吹くんに、学校中のみんなが恋をしていた。
< 1 / 4 >