ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~
「だったら、何で妖斗のことを助けなかった。
何であいつの親を守らなかった。
お前のせいであいつは……痛ッ!?」
直後、先生は胸ぐらを掴んだ俺の腕を
片手で握りつぶした。
「光輝、それは八つ当たりもいいところだろう。俺だって助けたかったよ。……けどな、あん時はそれどころじゃなかったんだ」
だからなんだって言いたくなった。
「それでも、あん時妖斗は5歳だったっ!!せめてお前が兄だけでも助けてたら……っ」
全ては、今更話しても無駄な話だった。
「そりゃ無理だ。
光輝、喰蝶は昔から全暴走族の敵だ。一体何個の族があいつらに抹殺されたか。あんなん俺でも倒せねぇ」
先生は、俺の言葉を一刀両断した。
…………過去は戻らない。
全ては手遅れで、あいつは今も悲しんでいる。
直後、エレベーターの扉が開いた。
「光輝、10階だ。この階の1015号室に、暁斗は眠っている。そこに妖斗もいるはずだ。
光輝、あいつは俺じゃなくて、お前を選んだんだ。……あの馬鹿を頼んだぞ」
……そんなものは言われるまでもない。
「ハッ、当たり前だ」
腕から手が放された刹那、俺はエレベーターから出て1015号室まで走った。