ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~




「光輝っ!!妖斗は?」





その後間もなくして医者を連れた真凛と聖里奈が部屋まで来て、妖斗は長谷川総合病院まで運ばれた。







真凛は、妖斗に付き添って救急車に乗っていった。





200人の喰蝶は全員逮捕され、白龍にも死者は出ず、皆軽傷で済んだと俺は聖里奈から聞いた。




「……光輝っ!!」




床に座っていた自分の体に不意に訪れた温もりと声に、俺は顔を上げた。





「……無事で、よかった」





聖里奈が俺を抱きしめ、そう泣きながら言った。





「……終わったんだよな」




安心したのか、疲労感が押し寄せると共に、瞳から大量の涙がこぼれ落ちてきた。





「ええ、終わったわよ」




「……翔太さんは、どうなった?」




「今は妖斗と同じ救急車に乗ってる頃だと思うわ。どうやら腕の骨折だけみたいよ」





聖里奈のその言葉に、俺はますます力が抜けた。





「なぁ、聖里奈。



……………妖斗、起きるよな?




死なないよな」





咄嗟に出たその言葉は、今言うべきにはとても値しない言葉だった。





兄なら黙って待っときゃあいい話なのに、俺にはそんなことができる力もない………。






「ええ。……きっと、起きるわよ」




そう聖里奈は躊躇いもなく言い放った。










< 252 / 275 >

この作品をシェア

pagetop