ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~
「光輝っ!!妖斗は?」
その後間もなくして医者を連れた真凛と聖里奈が部屋まで来て、妖斗は長谷川総合病院まで運ばれた。
真凛は、妖斗に付き添って救急車に乗っていった。
200人の喰蝶は全員逮捕され、白龍にも死者は出ず、皆軽傷で済んだと俺は聖里奈から聞いた。
「……光輝っ!!」
床に座っていた自分の体に不意に訪れた温もりと声に、俺は顔を上げた。
「……無事で、よかった」
聖里奈が俺を抱きしめ、そう泣きながら言った。
「……終わったんだよな」
安心したのか、疲労感が押し寄せると共に、瞳から大量の涙がこぼれ落ちてきた。
「ええ、終わったわよ」
「……翔太さんは、どうなった?」
「今は妖斗と同じ救急車に乗ってる頃だと思うわ。どうやら腕の骨折だけみたいよ」
聖里奈のその言葉に、俺はますます力が抜けた。
「なぁ、聖里奈。
……………妖斗、起きるよな?
死なないよな」
咄嗟に出たその言葉は、今言うべきにはとても値しない言葉だった。
兄なら黙って待っときゃあいい話なのに、俺にはそんなことができる力もない………。
「ええ。……きっと、起きるわよ」
そう聖里奈は躊躇いもなく言い放った。