ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~
世話の焼ける弟~翼咲side。
はぁ……あいつ、逃げやがった。
「翼咲~、謝ってこい。今すぐに。でないと今日お前の晩飯は抜きだ」
光輝は、俺に向かって笑顔でそう言った。
「はぁ?なんで俺が……」
「お前はガキか!さっきのやり方はいくらなんでもタチが悪過ぎる!妖斗、すげぇ怯えてただろうが!」
光輝はそう言い、俺の頭を手に持っていた携帯で軽く叩いた。
「だ、だって、光輝が妖斗のこと気に入って」
……ムカつく。
なんで光輝は、こんなにあいつを心配してるんだ。
俺がさっき怒ったのは、妖斗が売色をしてたからじゃない。
光輝が妖斗に奪われるたと思ったからだ。
光輝は異様なほど世話焼きで、何かがある奴には
どんどん声をかける。俺は、それが嫌いだ。
いつか光輝が他人の世話ばかりするようになって、俺をほっとくようになるんじゃないかと思ってしまうから。
光輝は、俺の兄ちゃんなのに。
「……はぁ。たしかに妖斗のことは興味持ってるけど、だからってお前を雑に扱ったりはしないから」
「本当にしないのか?」
「しねぇよ!俺はお前も、妖斗も大事にする!分かったらさっさと行ってこい!」
「……分かった。話してくる。携帯返して」
「……ダメだ。走って謝りに行ったら、返してやる」
「ああもう! わかったよ!」
俺は走って、屋上を出た。