ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~
……わかってくれる人なんていないと思った。
翼にぃは、俺が受けてきたことや考えたことと似た経験ばかりして生きている人だった。
「翼にぃ……」
俺は、翼にぃの頬を痩せぎすの手で触った。
指と指の間に、翼にぃの涙が零れ落ちてきた。
翼にぃは、俺の手首を強く強く掴んだ。
腕に伝わってくる痛みが、辛いよ辛いよって嘆いてるみたいで、俺は何も言えなかった。
「……今でもさ、何でなのかよく分かんないんだけどさ、あいつだけ。……光輝だけは、何故か化け物には見えなかったんだよな。
ある日、あいつは怯えた顔をした俺を無理やりこの家に連れてきて、ご飯を食わせたんだ。
すげぇ美味しかった。
……俺は、それだけで泣けちまった。
悲しかったんじゃない、……嬉しかったんだ。生きてていいよって言われた気がした。生んだ親に捨てられて、自分の価値なんか全然わかんなくて、自暴自棄になっていた時に、そいつは都合よく、神様みたいに現れた。
…………俺もお前も、あいつに拾われた時点で救われてんだよ」