ネェ、オレヲアイシテ?Ⅰ~Belief or Hypocricy~
夢みたいな話だった。
救いの手は本当に翼にぃを幸福へと導いた。
翼にぃは俺の腕から手を離し、
自分の服の袖を捲った。
そこから顕わになった右腕は、全体が赤黒く変色していた。
「えっ」
俺はあまりに酷い傷をみて息を飲んだ。
「……昔のことは、思い出すとそりゃ辛いよ。自分のことだって、何度カッターで切りつけて殺そうとしたかわかんない。
……でも、それでも俺は今、確かにここにいて、光輝っていう大事な大事な親友がいて、白龍の副総長になれるくらいには、色んな人に認められるようになった。それだけで、生きてて良かったなって、俺は今幸せだって胸張って言える。
お前も、アイツといたらいつかそうなれるよ」
そう言って、翼にぃは嬉しそうに笑った。