藤堂さん家の複雑な家庭の事情
自分の母親がしでかした罪を、惣一郎は償おうとして、あたし達家族の為に色んな事をしてくれる。


この事を兄は知らない。


藍子も琢も何も知らない。


あたしもたまたま知ってしまっただけで、惣一郎は一生言うつもりはなかったらしい。


いっそ、全て言ってしまえば惣一郎は楽になれるかもしれないのに、惣一郎は敢えて苦しい方を選んでる。


言えばいいのにって思うけど、あたしから家族に話していい事じゃない。


だからあたしはこの事を、家族の誰にも言えないでいる。


「言いたくないなら、それでいい」

そのあたしの声に顔を上げた惣一郎は、「ごめん」と泣きそうな顔で呟く。


そんな表情見せるから、「好き」と言葉に出来なくなる。



【心実の秘密】
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