藤堂さん家の複雑な家庭の事情
これが、さっきまで部屋で寝ていた琢が目を覚ました理由。


藤堂家では藍子のこの状態を最終段階と呼んでいる。


「聞こえた?」

携帯を耳に戻した琢は、電話の向こうにいる翡翠に問い掛け、指示を待つ。


やる事は毎回同じなのだが、琢はちゃんと指示を待つ。


『ああ。聞こえた。心実に報告頼む』

翡翠の指示に「あい」と返事をした琢は、藍子に気付かれないように静かに部屋のドアを閉めた。


期末テストが始まって、4日目の夜の出来事である。
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