藤堂さん家の複雑な家庭の事情
「数学は……ね」

「うん」

心実の援護もここで終わった。


控えめに言っても「算数」すら危うい藍子に、「数学」という言葉を出されたら何も言えない。


最終段階に入った藍子が心配だが、藍子の一番苦手な「数学」のテストがあるというのなら、藍子の気が済むまで勉強させてやる事が藍子の為だと、翡翠と心実は思う。


ここは静かに藍子を見守り、勉強させてやるのが優しさだと。


――が。


「お姉ちゃん、ごめん。食欲ないからもういいや。着替えてくるね」

分かりやすく元気のない藍子が断わりを入れてリビングを出て行った後、


「後はトワに託すしかねえ」

「だね」

翡翠と心実は、トワならどうにかしてくれるだろうと期待する。
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