藤堂さん家の複雑な家庭の事情
藍子がテスト勉強をする期間、藤堂家は妙な雰囲気に包まれる。
皆が皆藍子を気遣い、何となくぎこちなくなる。
毎朝藍子を起こす琢がいつもとは違って静かに起こしたり、テスト期間は午前中で学校が終わるのに図書館で勉強する藍子の為に心実がお弁当を作ったり。藍子がゆっくり眠れるようにと、早く帰って一緒に眠れる夜があっても翡翠が自分の部屋で寝たり。
そんな風に、色々とある家族の気遣いひとつひとつに、藍子は気付いていない。
だが、気を遣ってくれているという事は分かっている。
勉強がしやすい環境にあると分かっている。
そしてそれに感謝している。
藍子がいい成績を取る為に勉強をしている理由は、家族の為。
いくら勉強をしても上がらない成績に嫌気が差し手を抜いたりしないのも家族の為。
藍子は自分がいい成績を取れば、家族が喜んでくれると分かっているから、家族を喜ばせる為にいい成績を取りたいと思っている。
高校に通わせてもらっていると思っている藍子は、いくら出来ないからといっても「勉強」の手を抜くなんて事は家族に対しての裏切りだと思っている。