藤堂さん家の複雑な家庭の事情
不可解な兄
前日
「5日ほどこっちの店、任せていいか?」
唐突な翡翠のその言葉に、店の前の廊下に出してあった看板を店内に下げ終わったトワは「うん?」と聞き返した。
朝日が昇り、電車の本数も増え始めてきた時間。
本日の営業が終わったボーイズバー【Crown】に残っているのは、オーナーの翡翠とマネージャーのトワのみ。
トワが店のドアを閉めて店内の明るさを最大にすると、途端に薄暗かった店内が明るくなり、立ち込めていた妖しげな雰囲気は一掃された。
「こっちの店、任せていいか?」
眩しさに目を細め、洗い物をしながら言葉を繰り返す翡翠はトワの方を見ようとしない。
その態度を不審に思いながらもトワは「いいけど」と返事をして、掃除をする為に奥にあるトイレへと向かった。
「あっち行くのか?」
翡翠の前を通ったトワがカウンター越しにそう問い掛けると、翡翠は顔も上げずに「ああ」と返事をする。
その態度はやっぱりどこか不自然で、違和感がある。
だからトワは何気にという感じを装い、「何で?」と問うた。
トワの言う「あっち」とは、翡翠がオーナーをしているもう一つの店、ホストクラブ【Kingdom】。
唐突な翡翠のその言葉に、店の前の廊下に出してあった看板を店内に下げ終わったトワは「うん?」と聞き返した。
朝日が昇り、電車の本数も増え始めてきた時間。
本日の営業が終わったボーイズバー【Crown】に残っているのは、オーナーの翡翠とマネージャーのトワのみ。
トワが店のドアを閉めて店内の明るさを最大にすると、途端に薄暗かった店内が明るくなり、立ち込めていた妖しげな雰囲気は一掃された。
「こっちの店、任せていいか?」
眩しさに目を細め、洗い物をしながら言葉を繰り返す翡翠はトワの方を見ようとしない。
その態度を不審に思いながらもトワは「いいけど」と返事をして、掃除をする為に奥にあるトイレへと向かった。
「あっち行くのか?」
翡翠の前を通ったトワがカウンター越しにそう問い掛けると、翡翠は顔も上げずに「ああ」と返事をする。
その態度はやっぱりどこか不自然で、違和感がある。
だからトワは何気にという感じを装い、「何で?」と問うた。
トワの言う「あっち」とは、翡翠がオーナーをしているもう一つの店、ホストクラブ【Kingdom】。