藤堂さん家の複雑な家庭の事情
トワは海斗のそういう、きちんと一線を引いた性格を気に入っていて、特別可愛がっていたりする。
「わざわざ持って来なくても、こっち終わったら様子見に行くのに」
これもまた、いつもの事だという感じで口にしたトワだったが、海斗の反応はいつもと違った。
海斗は少し当惑したような表情を作り、「それが……」と言い辛そうに言葉を紡ぐ。
その感じからまたしても嫌な予感がしたトワは、「何かあったのか?」とすぐに聞き返した。
「何かあったっていうか、俺も何があったんだって感じなんですけど、実は翡翠さん二部も出るって言ってて……」
「は?」
「2部の時間までスタッフルームで寝て、そのまま出るって。だから売り上げをトワさんに持って行くように言われて俺来たんですよ。で、トワさんにはこれを翡翠さんの家に持ってって、部屋の金庫に入れておいて欲しいそうです。でももしトワさんが無理なら俺が翡翠さんの家に行って心実ちゃんにでも渡しておきますけど――」
「ちょ、ちょっと待て。二部?」
「やっぱりおかしいですよね? いつもうちに来る時は一部しか出ないのに今日に限って二部もって。しかも翡翠さん昔の客を呼んだりしてるんですよ。いつもはヘルプにつくくらいしかしないのに」
「はぁ?」
「何か昼に営業掛けたみたいで、一部にも結構昔の客来てました」
「嘘だろ?」
「わざわざ持って来なくても、こっち終わったら様子見に行くのに」
これもまた、いつもの事だという感じで口にしたトワだったが、海斗の反応はいつもと違った。
海斗は少し当惑したような表情を作り、「それが……」と言い辛そうに言葉を紡ぐ。
その感じからまたしても嫌な予感がしたトワは、「何かあったのか?」とすぐに聞き返した。
「何かあったっていうか、俺も何があったんだって感じなんですけど、実は翡翠さん二部も出るって言ってて……」
「は?」
「2部の時間までスタッフルームで寝て、そのまま出るって。だから売り上げをトワさんに持って行くように言われて俺来たんですよ。で、トワさんにはこれを翡翠さんの家に持ってって、部屋の金庫に入れておいて欲しいそうです。でももしトワさんが無理なら俺が翡翠さんの家に行って心実ちゃんにでも渡しておきますけど――」
「ちょ、ちょっと待て。二部?」
「やっぱりおかしいですよね? いつもうちに来る時は一部しか出ないのに今日に限って二部もって。しかも翡翠さん昔の客を呼んだりしてるんですよ。いつもはヘルプにつくくらいしかしないのに」
「はぁ?」
「何か昼に営業掛けたみたいで、一部にも結構昔の客来てました」
「嘘だろ?」