藤堂さん家の複雑な家庭の事情
『あー、客が呼んでる。戻るわ』
「ちょっと! まだ話途中なんだけど!?」
『とりあえず、藍子と琢の所為じゃねえから、あいつらにそう言っといてえ』
「待ってよ! あんたマジで今日も帰って来ないつもり!?」
『こんなに酔ってちゃ帰れねえしって事でまたなあ』
「ちょ――」
そこで電話はブツリと切れた。
心実は携帯をぶん投げたい気持ちを抑え、グッと奥歯を噛み締めた。
翡翠が帰らなくなって3日。
これは余りにもおかしすぎると思うのに、心実には何が原因かさっぱり分からない。
昨日トワが帰ってからやけにウジウジとし始めた藍子と琢に、今朝になってどうしたのか問い質すと、二人は揃って翡翠が帰って来ないのは自分の所為じゃないかと言った。
心実は二人の話を聞きながら、そんな事で帰って来なくなる訳ないじゃんと思う反面、そうやって原因を考えられる藍子と琢を羨ましくも思った。
おかしいと分かっているのに原因がさっぱり分からない状態というのは酷くモヤモヤする。
モヤモヤすると同時に腹立たしくもある。
その矛先は今や恋人のトワにまで向けられている。
「ちょっと! まだ話途中なんだけど!?」
『とりあえず、藍子と琢の所為じゃねえから、あいつらにそう言っといてえ』
「待ってよ! あんたマジで今日も帰って来ないつもり!?」
『こんなに酔ってちゃ帰れねえしって事でまたなあ』
「ちょ――」
そこで電話はブツリと切れた。
心実は携帯をぶん投げたい気持ちを抑え、グッと奥歯を噛み締めた。
翡翠が帰らなくなって3日。
これは余りにもおかしすぎると思うのに、心実には何が原因かさっぱり分からない。
昨日トワが帰ってからやけにウジウジとし始めた藍子と琢に、今朝になってどうしたのか問い質すと、二人は揃って翡翠が帰って来ないのは自分の所為じゃないかと言った。
心実は二人の話を聞きながら、そんな事で帰って来なくなる訳ないじゃんと思う反面、そうやって原因を考えられる藍子と琢を羨ましくも思った。
おかしいと分かっているのに原因がさっぱり分からない状態というのは酷くモヤモヤする。
モヤモヤすると同時に腹立たしくもある。
その矛先は今や恋人のトワにまで向けられている。