藤堂さん家の複雑な家庭の事情
もう見る事はないだろうと思っていた姿を目の当たりにした今は、出来ればこのまま無理矢理家に連れ帰って、【Kingdom】で働くのをやめさせたいと思ってしまう。
でもそんな事、どうして嫌なのか本当の理由を言えないトワに出来ないはずがない。
トワに出来るのは、
「飯、ちゃんと食ってるのか?」
翡翠の体を心配するくらいだ。
ソファに辿り着いた翡翠は、「栄養は酒で取ってる」と答えて崩れるように座り込む。
脱がずに床に転がっていた所為でスーツはどこも皺くちゃで、見るに堪えないその姿からトワは自然と目を逸らした。
「昼飯、心実から預かってきたから食えよ」
「心実? 何で心実?」
「昨日電話あったろ。随分適当にあしらったみたいだけど」
「あー、そういやあったような気がする。あんま覚えてねえけど。って、あれ昨日か?」
「昨日の朝だ。その後、俺に電話があった。心実怒ってるぞ」
「何で?」
「お前が適当にあしらうからだろ。それに心配もしてる」
「何を心配する事があんだよ」
「そうやって飯も食わずに酒ばっか飲むからだろ。今日、弁当届けてくれって電話が掛かってきた」
「食欲ねえ」
でもそんな事、どうして嫌なのか本当の理由を言えないトワに出来ないはずがない。
トワに出来るのは、
「飯、ちゃんと食ってるのか?」
翡翠の体を心配するくらいだ。
ソファに辿り着いた翡翠は、「栄養は酒で取ってる」と答えて崩れるように座り込む。
脱がずに床に転がっていた所為でスーツはどこも皺くちゃで、見るに堪えないその姿からトワは自然と目を逸らした。
「昼飯、心実から預かってきたから食えよ」
「心実? 何で心実?」
「昨日電話あったろ。随分適当にあしらったみたいだけど」
「あー、そういやあったような気がする。あんま覚えてねえけど。って、あれ昨日か?」
「昨日の朝だ。その後、俺に電話があった。心実怒ってるぞ」
「何で?」
「お前が適当にあしらうからだろ。それに心配もしてる」
「何を心配する事があんだよ」
「そうやって飯も食わずに酒ばっか飲むからだろ。今日、弁当届けてくれって電話が掛かってきた」
「食欲ねえ」