藤堂さん家の複雑な家庭の事情
「心配しろよ」
「してる。してるから、ほっぺた引っ張るのもうやめて」
今度はわざとらしく「いてて」と言った藍子の頬から手を離した翡翠は、「何で制服なんだ?」と繰り返す。
それを聞いた藍子は少しムッとした表情を作り、「お兄ちゃんの所為だよ」と不貞腐れた。
「俺の所為って何だよ」
「お兄ちゃんが制服掴んだまま手ぇ離してくれなかったんじゃん。あたし補習も行けなかったんだよ?」
「全然記憶にねえ」
「今日行かなかったから、補習が終わる日一日延びちゃった」
「一日くらいいいだろ」
「補習終わった次の日は、友達とプール行く約束してたのに」
「文句ばっか垂れてんじゃねぇよ」
「文句じゃないよ。意見だよ」
「あー、はいはい」
「お詫びにプール代出してね」
「お詫びだあ?」
「うん。お詫びに二千円」
「高ぇな、おい」
「じゃあ千円でもいいよ? それならいいでしょ?」
「よくねえよ」
「えー」
「まあでも、千円くらいならやってもいい」
「本当?」
「その代わり、舌舐めろ」
「してる。してるから、ほっぺた引っ張るのもうやめて」
今度はわざとらしく「いてて」と言った藍子の頬から手を離した翡翠は、「何で制服なんだ?」と繰り返す。
それを聞いた藍子は少しムッとした表情を作り、「お兄ちゃんの所為だよ」と不貞腐れた。
「俺の所為って何だよ」
「お兄ちゃんが制服掴んだまま手ぇ離してくれなかったんじゃん。あたし補習も行けなかったんだよ?」
「全然記憶にねえ」
「今日行かなかったから、補習が終わる日一日延びちゃった」
「一日くらいいいだろ」
「補習終わった次の日は、友達とプール行く約束してたのに」
「文句ばっか垂れてんじゃねぇよ」
「文句じゃないよ。意見だよ」
「あー、はいはい」
「お詫びにプール代出してね」
「お詫びだあ?」
「うん。お詫びに二千円」
「高ぇな、おい」
「じゃあ千円でもいいよ? それならいいでしょ?」
「よくねえよ」
「えー」
「まあでも、千円くらいならやってもいい」
「本当?」
「その代わり、舌舐めろ」