藤堂さん家の複雑な家庭の事情
言って口から出した翡翠の舌を、藍子は躊躇いもなくペロリと舐めた。


ただ当然それで終わる事はなく、翡翠は藍子の体を抱きすくめ、藍子の甘い舌を吸い上げて味わう。


そうやって暫くの間その舌を堪能した翡翠は、唇を離すと藍子の濡れた唇を指先で拭い、「寂しかったか?」と問い掛けた。


「うん。寂しかった」

「本当かよ」

「うん。本当」

「なら、電話くらいして来いよ。完全に無視じゃねぇか」

「だってお兄ちゃんはあたしに怒ってると思ったから」

「赤点多かったからか?」

「うん」

「今更そんな事で怒るかよ」

「いよいよ怒ったのかと思った」

「お前の頭が悪いのは分かってんだから、今までもこれからも怒ったりしねえよ」

「そっか」

「そうだよ」

「じゃあ、寂しかったからお詫びに二千円くれる?」

「てめえ、それが目的で寂しかったって言いやがったな?」

「二千円希望!」

「お前、その強引さ誰に教わった?」

「二千円!」

「あー、もう。分かった、分かった」

「本当に!?」
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