藤堂さん家の複雑な家庭の事情

この状況をどう回避すればいいんだろうかと焦った矢先に手の中の携帯が光り、画面に「お姉ちゃん」の文字が出る。


恐ろしさの余りに電話に出られなかった。


何度か鳴った電話は留守番電話に転送されたのかプツリと切れる。


だけど３秒も経たない内に再び携帯がチカチカと光り始め――。


『てめえ、ふざけんな！』

出ない訳にはいかないと覚悟を決めて出た途端に、ブチギレしたお姉ちゃんの声が飛び出てきた。


昔取った何とやら。


その迫力は半端ない。


「あ、あの……」

『解約しろ！　そのクソ携帯！』

「え、えっと……」

『何回電話してると思ってんだよ！』

「お、お姉ちゃん……」

『ふざけんな！　マジでブチギレた！』

「おね……」

『携帯ぶっ壊してやる！』

怒り狂うお姉ちゃんはあたしの声なんて聞こえてない様子で、あらん限りの声で怒鳴る。