藤堂さん家の複雑な家庭の事情
「何か開かない」

「目ぇ開けろって」

「だって開かない」

「んじゃ、もういい」

「んー」

「口開けろ」

言われるままにほんの少し口を開くと、重なった唇から熱い舌が入ってくる。


思わず体を引いてしまったあたしを、お兄ちゃんは更に強く抱き締めて隙間がないくらいにくっ付いた。


お兄ちゃんの舌は、堪能するようにあたしの口内を舐め上げ、その時間の長さに息苦しさを感じ始めた頃ようやく離れていく。


そこでやっと目を開けたあたしは、部屋が暗くても表情が分かるくらい至近距離にあるお兄ちゃんの顔を見つめ、


「あたし、月曜小テストがあるんだけど……」

一応の抵抗を試みたけど、言っても無駄だって事は分かってた。


「小テストあるから何だ?」

「寝不足だと勉強出来なくていい点取れない」

「充分寝てもまともに勉強出来ねえだろ?」

「まあ、そうだけど……」

「他に言いたい事は?」

「お兄ちゃんお酒臭い」
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