藤堂さん家の複雑な家庭の事情
お兄ちゃんの手や舌が体中を徘徊して、翻弄《ほんろう》されるあたしの頭はいつしか真っ白になってしまう。


いつの間にか部屋の中には水音が響く。


お兄ちゃんは時間を掛けて、あたしを湿らせていく。


太ももにキスをして。


足の付け根にキスをして。


それから水源に口付けて、溢れさせていく。


充分に時間を掛けてあたしを導き、あたしが半分ぐったりとすると、お兄ちゃんは上体を起こしてあたしを見下ろす。


濡れた口許を手で拭うお兄ちゃんの仕草は、目が慣れた薄暗い部屋で見ると、いつにも増して艶《なま》めかしい。


「もういいか?」

「んっ、もういい」

その返事にお兄ちゃんは、あたしの両足を開き、


「終わったら、説教な」

半分笑った声を出すと、あたしの中に入ってきた。


一番深い場所で繋がって、これでもかってくらいに抱き締められる。


耳元でお兄ちゃんが呼ぶ「藍子」って声にゾクゾクする。


強制的に揺れる体から湧き上がってくる感覚と、何度も繰り返される深いキスに、このまま堕ちてしまいたいと思うほどに強烈な刺激が襲ってきた。
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