藤堂さん家の複雑な家庭の事情
いつも不思議に思うのは、お兄ちゃんがいつ服を脱いでるのかって事で、途中までは着てたりするのに、終わってみるといつも着てない。
そんな格好のまま、あたしを抱き締めベッドに寝転ぶお兄ちゃんは、あたしの額に唇を押し付けてから、
「心実に殴られたって?」
笑って聞いてきた。
「うん。そう。ゲンコツで。ゴチンッてされた」
「ふーん」
「タンコブ出来てるよ?」
「そりゃやべえな。これ以上バカになったらどうしようもねえ」
「だね。留年しちゃう」
「心実の事、怒って欲しいか?」
「ううん。あたしが悪いから」
「よし、頭悪くなってねえな」
「うん」
「あんま心実に心配掛けるな」
「はーい」
「お前と琢の面倒見て、あいつも大変なんだから」
「はーい」
「ちゃんと心実の言う事を聞け」