藤堂さん家の複雑な家庭の事情
兄妹喧嘩
「藍子、とても残念なお知らせがある」
昼過ぎ――と言っても夕方近く。
ゴソゴソと起きてきた翡翠が、残っている昨夜のアルコールを抜く為にシャワーを浴びた後。今朝方帰って来た時にリビングの食卓の上に置いたはずの財布が、キッチンカウンターの上にある事を不思議に思い、財布の中を見たのが始まりだった。
冬休みで家にいた藍子は、リビングのソファに座ってテレビを見ていた。
ちょうどキッチンカウンターの前にいる翡翠に背中を向ける格好だった藍子は、翡翠の言葉に「うん?」と後ろに振り向いた。
――と、同時に。
「我が家に泥棒がいる」
翡翠は左手に持った自分の財布をヒラヒラ揺らし、藍子を見据えた。
今朝、翡翠の財布の中には1万円札が5枚入っていた。
毎日財布の中を確認している訳ではないが、今朝はたまたま寝る前に、財布に後いくら入っているかを確認していたから金額は分かっている。
その時は確かに5万円入っていた。
まだ銀行に行かなくても大丈夫かとまで思ったから確かである。
昼過ぎ――と言っても夕方近く。
ゴソゴソと起きてきた翡翠が、残っている昨夜のアルコールを抜く為にシャワーを浴びた後。今朝方帰って来た時にリビングの食卓の上に置いたはずの財布が、キッチンカウンターの上にある事を不思議に思い、財布の中を見たのが始まりだった。
冬休みで家にいた藍子は、リビングのソファに座ってテレビを見ていた。
ちょうどキッチンカウンターの前にいる翡翠に背中を向ける格好だった藍子は、翡翠の言葉に「うん?」と後ろに振り向いた。
――と、同時に。
「我が家に泥棒がいる」
翡翠は左手に持った自分の財布をヒラヒラ揺らし、藍子を見据えた。
今朝、翡翠の財布の中には1万円札が5枚入っていた。
毎日財布の中を確認している訳ではないが、今朝はたまたま寝る前に、財布に後いくら入っているかを確認していたから金額は分かっている。
その時は確かに5万円入っていた。
まだ銀行に行かなくても大丈夫かとまで思ったから確かである。