藤堂さん家の複雑な家庭の事情
いくら働き始めてから我慢を覚えたとはいえ、昔から好き勝手に生きてきたこの男に、欲しい結果を得られないからと感情を抑えるには限度がある。
家族相手なら尚の事、限度はすぐに超えてしまい、怒鳴った時には当初の目的だった「結果」なんてものはどうでもよくなっていて、この一喝で事態は収束すると確信していた。
藍子が翡翠に嘘を吐く事は「よくある事」ではないが、「たまにある事」ではある。
それは決まって怒られたくないから「子供の言い訳」のような嘘を吐く訳で、こうして怒鳴れば藍子は毎回すぐに「ごめんなさい」と謝る。
それが分かっていた翡翠がすぐに怒鳴らなかったのは、財布から金を抜き取った事も許し難いが、それよりも、抜き取った金を何に使ったのか知りたかったからだ。
世の保護者がそうであるように、翡翠もまた中学生の藍子に何があったのか気に掛かる。
普段こんな事をしない藍子だからこそ、何かとんでもない事態に巻き込まれてるんじゃないかと心配になる。
誰かに恐喝されてるんじゃないかとか、何やら怪しげな薬に手を出してるんじゃないかとか、自分が歩んできた道を踏まえ、翡翠は「世間」というものが10代の子供が思っているより怖いものだと分かっているから放ってはおけない。
だから下手に怒鳴って怖がらせては、理由という「結果」を得られないかもしれないと危惧して、温厚な態度に出ていた。
だがもうそんな事はもうどうでもよくなり、謝らせる事を優先した。
家族相手なら尚の事、限度はすぐに超えてしまい、怒鳴った時には当初の目的だった「結果」なんてものはどうでもよくなっていて、この一喝で事態は収束すると確信していた。
藍子が翡翠に嘘を吐く事は「よくある事」ではないが、「たまにある事」ではある。
それは決まって怒られたくないから「子供の言い訳」のような嘘を吐く訳で、こうして怒鳴れば藍子は毎回すぐに「ごめんなさい」と謝る。
それが分かっていた翡翠がすぐに怒鳴らなかったのは、財布から金を抜き取った事も許し難いが、それよりも、抜き取った金を何に使ったのか知りたかったからだ。
世の保護者がそうであるように、翡翠もまた中学生の藍子に何があったのか気に掛かる。
普段こんな事をしない藍子だからこそ、何かとんでもない事態に巻き込まれてるんじゃないかと心配になる。
誰かに恐喝されてるんじゃないかとか、何やら怪しげな薬に手を出してるんじゃないかとか、自分が歩んできた道を踏まえ、翡翠は「世間」というものが10代の子供が思っているより怖いものだと分かっているから放ってはおけない。
だから下手に怒鳴って怖がらせては、理由という「結果」を得られないかもしれないと危惧して、温厚な態度に出ていた。
だがもうそんな事はもうどうでもよくなり、謝らせる事を優先した。