藤堂さん家の複雑な家庭の事情
悪びれてる様子は一切ないし、反省してる風でもない。


「言った事、マジで思ってる事だし」

実にあっけらかんと言い切るから、その頭の中にこそクソが詰まってるんじゃないかと思って、「はあ……」と間の抜けた声が出てしまった。


「んでもまあ、いちいち友達に話したりしないで欲しいんだけど」

「はあ……」

「実習終わるまで黙っててくれね?」

「終わるまで?」

「終わればもう関係ねェし」

「まあ、別に言いませんけど……」

「って言いながら言っちゃうんだろ? お前ら女子コーセーってそういうもんじゃん。くだらねェ噂話とか、誰かのくだらねェ批判が好きだろ?」

「はあ……」

「こっちは大変なんだよ。付いてるセンセーの機嫌も取らなきゃなんねェし、バカみたいな雑用押し付けられるしな。それも後1週間で終わるから、ここまでの努力を棒に振りたくないんだよ。分かるか? 分かんねェだろうな。お前らみたいなノーテンキなガキには」

「はあ……」

「オトナは大変だって事だよ。だからベラベラ喋るなって言ってんの」

「言いませんけど」

「俺、その言葉信用しちゃっていい訳?」

「どうぞ」
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