吐露するキズ跡
楽器を搬入するために、車なんだけど、近いのであたしもひらってくれるのだ。

そろそろ時間なので、電話くれることにはなってるけど、先に出ておく。

凍えながら待っていると、時間より少し早く、車がやって来る。

トウゴさんが運転席で、助手席にはショートカットの金髪の男の子が見えた。

後部のドアがあいて、

「おまたせ。どうぞ」

羽の姿、いつもの声が出迎えてくれる。

「ごめん、狭いんだ」

座席の半分近くにまで荷物が乗っかっていて、すでに羽が乗っているので、そこに乗れってことは、羽に密着しろ
ってことで。

あたしは、文句は言えず、ぎゅーっと詰まって乗せさせていただく。

肩から下が密着状態だけど。

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