吐露するキズ跡
「ごめんね、あたし、電車で行けば良かった」

「全然。…今日スカートなんだ」

「指定されてたから」

がさっと前から音がする。

「わー、誰?トウゴの彼女?」

金髪君が座席越しに振り替える。

さっきちらっと見たときもそうだったけど、いっつも顔に笑いを張り付けているタイプ。

「ちゃんと前向いてて、栗生(クリュウ)」

クリュウというのか、このヒト。

「はーい」

ニッコリ笑いかけながら、シートに座り直す。

でも、車が動き出すと、やっぱり振り替えって喋りだす。

「トウゴに彼女がいるなんて珍しい」

好奇心一杯の目を向けられる。


< 41 / 62 >

この作品をシェア

pagetop