吐露するキズ跡
「友達の方が賢明と思うよ。希少だもん。まあ、こいつ、断れない性質だから、来るもの拒まずってヤツなんだろ
うけどね。だから、ツカサちゃんも、今はチャンスかもしれないね」

がさって音がして、驚いて見たら、羽が隣の段ボールを抱えていて。

「これ、中入ってるの?」

ちょっとイラついた口調。

それから中を覗き込んで、

「…トウゴ、何で空の段ボールわざわざ積んでるんだよ」

「…ああ、バレたか。座席詰めようと思って、つい」

羽は短くため息をつくと、ガムテープをはがして、箱を解体して、座席の端に追いやる。

「待って。空いたんだったら、オレ、そっちがいい」

言って、クリュウが座席の間をすり抜けてこっちへ来る。

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