君と奏でる、永遠のメロディー
演奏を終え、聴衆に「ありがとうございました」と頭を下げる。

拍手が起こり、後ろの人から少しずつ動き始める。

僕は足下に置いたギターケースの中を見た。

そこにはいくらかのチップがあった。僕がそれを財布にしまい、ギターを置いた時、

「演奏、良かったですよ」

と、千円が差し出された。

「いやっ、こんなに…」

そう言いながら僕は顔を上げて、ハッとした。

さっきの女の子だった。

声までもが美しくて、僕はつい、感動してしまう。

「どうかしましたか?」

彼女に言われ、我に返った。

「いや。何でもないよ」

ドキドキしつつ、千円を受け取った。

「あの…。ずっと聴いててくれたよね。その、時間、大丈夫なの?」

「ええ、今日は用事も済んで、帰ろうと思っていたところなので」

「そっか…」

どうしよう。

想いを伝えるべきだろうか。

でも、いきなり? 引かれないだろうか。

それでも。

「実は、あなたに一目惚れしたんです。もし良かったら、何処か行きませんか?」

彼女の顔が、驚きに染まる。

少し考える風にして、彼女は

「はい、いいですよ」

と言ってくれた。
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