白と黒と時々ピンク。
すっかり日が長くなり空の明るさでは時刻が分からなくなった。
子供の頃、『日が暮れたら帰ってきなさい』と母親に言われたが怒られたり怒られなかったりした。
その理由が大人になってようやく分かった。

通行人にサラリーマンやOLが増え始めたことで大方の時間が予想された。
町並みを見渡すと、チラホラと薄着の人が目についた。
新入社員らしい女性の集まりを見て僕は違和感を感じた。
みんな同じスーツに同じカバン。髪は肩までのセミロングか後ろで結んでいた。

僕が知っている女子高生とは違った。
彼女たちは同じ制服を着てるにも関わらず、個々の個性を全力で醸し出していた。
白のカーディガンや茶色のカーディガン。
これ見よがしに短いスカート。
髪は染めている者もいれば、芸能人顔負けのツヤツヤのロング。
胸元は第2ボタンまで開けて男を惑わす。
それに何と言っても、女子高生のシャツ姿はブラの色が丸見えだった。

それなのに今、目の前を通り過ぎる彼女たちはブラの色どころかキチンと肌着まで着ている。

清楚という言葉では言い表せなかった。

新入社員とは特殊な時期なのかも知れないと僕は思った。

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