白と黒と時々ピンク。
『ごめん。待ったー?』

僕の背中にいかにも男子受けしそうな甘ったるい声が聞こえて来た。

僕は聞こえないフリをして目の前のメニュー表を手に取った。指はメニューをなぞるが意識は背中にあった。

『おっせーよ!ウソウソー!』

一馬のテンションが一気に上がる。

彼女たちがテーブルの前に来た。緊張しているのか彼女たちは上着やカバンの置き場所を懸命に探すそぶりを繰り返す。

そして一馬に促されるように席に着いた。

3人の顔が並んだ瞬間、僕は合コンの意味を見失った。と同時に一馬が選んだ女の子はやはり顔だけだと確信した。

それほど残りの2人が酷かったのだ。

一馬が狙っている瞳という女の子が簡単に自己紹介を始めた。

『私の親友の優里ちゃんと陽子です。』

親友と頭につける所が僕の中で、更に中身の無さを助長させた。

優里はかなり太っていた。性格は明るいが自分のことを『少しポッチャリ』と言う前向きさがキツかった。

陽子は典型的なオタクタイプで『エックスのヒデがタイプです。』が印象的だった。

残念ながら僕は2人を女子として見ることはなかった。

僕たちも軽く自己紹介を済ませ合コンが始まった。
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