白と黒と時々ピンク。
『この後どうする?』

お開きの空気を読まずに一馬が言った。何が何でも瞳とコトを起こしたかったのだろう。
僕なりに援護したつもりだったが、一馬では瞳は無理だろうと思っていた。

水の営業を始めて2ついい事があった。
それは給料面と営業力だ。

営業力とは、売れるのか売れないのか見定める力が必要だった。
押しに弱いのか、説明に弱いのか、泣き落としか、どの攻め方をすれば購入してもらえるのか。
僕には、もともと見定める力があった。

『センスあるよ!』

社長が言った言葉が何を根拠に言ったのか分からないが、当たっていた。

一馬と高校生の時から良くナンパをしていたが、その時もイケるかイケないか、なぜか分かった。

それが社会人になり営業を始め、ますます磨きがかかった。
そんな僕が言うのだから間違いない。
瞳は一馬にまったく気がない。

それでも一馬は持って生まれたスーパー自己中で空気を乱す。

『涼は陽子さんがタイプだろ?俺には分かる。』

一馬からのとっさのフリに涼は固まった。
さすがに表情が引きつった。

『そうなん?』

陽子がハイボールを片手に急に女らしくなった。

涼は中身スッカスカだが、抜群にイケメンだった。
エックスのヒデには似てないが、涼に好意を寄せられて嫌な女はいないと思った。

それでも涼は女にモテなかった。
いや、モテるのだが、必ず数ヶ月で振られるのだ。

とにかく男らしくなかった。
< 19 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop