白と黒と時々ピンク。
瞳が話し始めて30分が経った頃、僕は瞳の話を遮った。

『ちょっと待って!結局どう言う事?』

瞳の話は堂々巡りだった。
ようは一馬がしつこいから何とかしてほしいと言う事だろう。

それなのに、一馬のメールがどうとか、少しでも会えない?とか、電話が頻繁に〜とか、しまいには元彼がどうとか、僕はウンザリし始めていた。

イラつく僕に瞳は慌てるように取り繕った。

『ごめん。違うの。』

『何が?』

黙り込む瞳。

僕は『帰るよ。』と言って車のエンジンを付けた。

『・・・たの。』

瞳が何かをつぶやいた。

良く聞き取れなかった僕はエンジンを止めた。

『ただ、ハルくんに会いたかったの。』

俯きながら瞳がつぶやいた。

僕は不覚にもドキッとしてしまった。

それと同時に出口のない森に迷い込んだ気分がした。

『どう言う意味?』

僕は言葉を発した後、軽く後悔した。

意味など聞く必要はなかった。

瞳にバトンを渡した以上、次の言葉を待つしかなかった。

『会った時から気になってて。』

僕は昨夜の居酒屋とカラオケを思い返した。
これと言って何も思い出さなかった。

気になるような事は断じて仕掛けていない。


強いて言うならば、一馬を援護するために、進んでバカキャラを演じた事と、瞳へのアプローチは最小限に抑えた事だ。


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