白と黒と時々ピンク。
僕は何度もシュミレーションを繰り返し、携帯の発信ボタンを押した。

いつも通りコールが鳴り始める。

僕は出るな!出るな!と願った。

そんな願いも叶わず受話器の向こうから一馬の声が聞こえてきた。

『ごめん。今終わった。どうした?』

僕の問いに対して一馬の反応は気が抜けるほど意外なものだった。

『お疲れ!ごめんな忙しいのに!』

『いいよ。で、話って?』

『いや瞳の事なんだけど、、、』

僕の胸は軽く心拍数を上げた。
とっさにタバコに火をつける。

『あいつさ、なんか良く考えると、どうでもいいかな〜と思ってさ。』

『はぁ、、、で?』

『ハルは瞳のこと、どう思う?』

『いや、別になんとも。』

『そっか。じゃあ面倒臭いから切ろうよ!』

切る?

僕は一馬が言いたいことを察するまで時間がかかった。
ようは、自分は無理だけど、友達の僕に取られるのは我慢ならないから関係を切ろうと言うことだった。

僕は『わかった』と言って電話を切った。

良かったのか悪かったのか無性に後味が悪かったのは覚えていた。

一馬と電話を切った後、僕は瞳に電話をしなかった。

もう振り回されるのは限界だった。



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