白と黒と時々ピンク。
次の日、僕は職員室にいた。

高校3年の冬ともなると、進学組も就職組もひと段落ついてマッタリとした時間が流れていた。

僕ともう一人を除いては。。。

もう一人と言うのは、隣のクラスの山西と言う生徒だ。

山西はほとんど学校にも来てなく、なんとか卒業できるレベルの生徒だった。
進学とか就職とは無縁の人間だった。

僕が通う高校は、地元では有名な男子校だ。

もともと野球が強く、過去に何度か甲子園にも行っている。

男子校、甲子園、学ラン、それらが理由かは分からないがなぜかモテる高校だった。

僕が中学の時、進学を決めた理由も男子校という響きだった。

その頃は硬派がカッコいいという憧れがあったのだ。

そうして入学して早3年が経とうとしていた。

まさか自分が進学も就職も出来ないなんて考えてもみなかった。

勉強はあまり好きではなかったが、小さい頃からやれば出来ると言われていたし、自分でもやれば出来ると思っていた。

大学に興味はなかったので進学をするつもりはサラサラなかったが、適当に就職すると思い込んでいた。

それがフタを開けてみると、僕が通う電気科には98人の生徒がいて、進学も就職もしなかったのは僕と山西の二人だけだった。

僕はいまだに、『進学も就職もしなかった』
と言うようにしている。

本当は出来なかったのだ。
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