トシノサ恋 ~永久に…君に~
「上がって下さいっ!」

その男の子は、私の腕を掴むと

私を奥の部屋に案内してくれた。

その部屋は、本当に質素で

テーブルと、小さなテレビがあるだけの

部屋だった。

その続きに台所があって、何か料理が

作ってあるのか

とても良い匂いがしていた。

「あ、ごめんね、今から夕食?

光くん、いないならまた出直します。」

私が帰ろうとすると

「えっ、先生!

飯まだだろ?一緒に食べていってよ。」

さっきの彼が笑って私を見ている。

「…えっ、でも、迷惑なんじゃ…。」

「何で?

皆で食べた方が美味しいじゃん。

光兄ちゃん、いつもそう言ってるよ?」

女の子も私を見て笑う。

なんだろう…何でだか断れない。

「じゃあ、お言葉に甘えて…。」

そう言うと女の子は、私を座布団の上に

座らせてくれた。

「ありがとう…私だけ、いいの?」

「うん、お客様にはそうするって

光兄ちゃんが、教えてくれたよ?」

「そっか…。」

新井くん…

素敵なお兄さんなんだね。

私は、新井くんに会うのがすごく

楽しみになっていた。
< 13 / 210 >

この作品をシェア

pagetop