トシノサ恋 ~永久に…君に~
「忘れるわけない…
紗和って…本当にお人好しなバカだなって
思ったんだから。」
「……え、バ…バカ?」
私が目を丸くして新井くんの顔を見ると
彼はイタズラっ子みたいに笑って
私を見ている。
「もう…笑いすぎっ…」
私は少し拗ねた顔をして彼を見た。
どちらが年上なんだか…
私って…本当に貫禄がまるでない…っ。
はぁ……
落ち込んで小さなため息をついた私の頭を
彼は微笑みながら優しく撫でている。
「……っ…」
ふと、顔を見上げると
二人の距離がすごく近くなっている。
恥ずかしいくらいに…彼の顔が近くにある…。
「…っ…」
「だけど…好きだ。
そういう所が…好き。
紗和はずっとキラキラしてる…」
「…え…えっ…?…」
キラキラ………?私が……???
「…入学してすぐの時…
紗和が生徒と一緒に花を植えているのを
見た事があってさ…こう言ってた…。」
"この花を見て、誰かの心に花が
咲いてくれたらいいねっ…
チューリップは優しさを届けて
くれる花なんだよ"
「…あの日、そう言ってた…」
「………………っっ
私…そんな事言ってた?
よく覚えてるね…私…忘れちゃったよ。」
嘘…本当は覚えてる。
チューリップは私が好きな花だから。
花言葉は、"思いやり"…。
…あんな話を聞いてくれてたなんて…。
「…俺さ、ずっと…
子供の頃から空手ばっかりで
他の事には興味とか湧かなくて
いつも相手を倒す事ばっかり考えてて…
自分の知らない誰かの為に
何かするなんて考えたことないから…
本当、衝撃だった…。
こんな事を考えてる人がいるなんてさ。
その時からかなぁ…学校の花壇を見るたび
紗和の話を思い出すようになって
いつのまにか…
花壇の花を見るのが好きになってた…。
そしたら、少しずつだけど相手の事を
考えたりするようになって…
クラスで浮いてる奴に声かけたりして…
俺なりに色々やってたんだ。
ずっと、紗和に憧れてた。」
「…私に…?」
そんな…私…
憧れられるような人間じゃないのに。
だから…あのラグビー部とのケンカの時…
"花壇"って言ってたんだ…。
「クサイ事をいつも当たり前に思ってて
真面目で正直で明るくて優しくて…
そんな紗和の事がずっと気になってて…
あの日出会ってから、色んな紗和を知って
紗和の事を本気で好きになった。
俺は、紗和がどんな人か、わかってる…。
学校でいくら無視されたって…
俺の気持ちは変わらない…。
むしろ、紗和を追い込んでるのかもって…
不安になって…会いたくて仕方なくなった。
紗和と話がしたくて…触れたくて…。
だから今日は、紗和に本当の気持ちを
聞きに来た…。
こんな俺が、紗和を好きになる権利なんか
ないのかもしれない…。
でも、好きなのを止められない。
止められないから、紗和に許しほしい。
俺が紗和の事、好きなの…許してほしい。
…俺を選んでほしい。」
彼の腕の中で彼の心臓の鼓動を感じながら
彼の精一杯の告白を聞いていた。
ギュッ…
彼に再び抱きしめられる…。
…私の本当の気持ちを聞きにきたんだよね。
私は、彼から体を離して正面に向き直る。
彼が私の顔をじっと見つめている。
気持ちが押し潰されそうになるのを必死に
抑えつけた。
「わかった…私の気持ちを話す。
私…新井くんとは…
やっぱり付き合えない…っ。
私は教師だから、生徒にそういう感情を
持ってはいけないんだって思ってる。
沢山、無視して…ごめんなさい。
混乱させてしまってごめんなさい。
私は、新井くんを好きにはなれない。
だから…もう私を好きって言わないで。」
ハッキリと言わないといけないから…。
私は、教師であなたは生徒で
恋なんてしたらダメだって…。
「………それが答え?」
彼は、そうポツリと掠れた低い声で言った。
………ズキ…ン
これでいい……これでいいんだ。
なのに、胸が…苦しくなっていく。
「うん……。」
そう言って、彼を帰るように促す。
新井くんは、黙って玄関のドアに向かって
歩き出した。
彼が靴を履いてドアの前に立つ。
「……じゃあ、また学校でね。」
私は、そう言って手を振る。
彼は、切ない表情のまま私の顔を
じっと見つめて離さない…。
ズキッッ……
その真っ直ぐな瞳が胸に突き刺さる。
「……………………っ」
その視線に耐えられずに目をそらしてしまう。
「……薔薇の花束って知ってる?」
「…え?」
「あれって、花の色と本数で
意味も違うんだって…。」
何で、急に…薔薇の花束…?
「…あ、うん…知ってるよ……どうして?」
「さっき、花屋で聞いた…
紗和にプレゼントしたくて…。」
「……えっ?私に…?」
…どうして……?
「…誕生日、もうすぐでしょ?」
「…え?」
あ……そうだ…もうすぐ7月27日…。
「本当は…夏休みに入る前に…
アポ取りするつもりだった…。」
「…アポって…?」
「…誕生日に会ってほしい…って。」
「…だから…
それはダメだって…さっき言ったよね?」
「……紗和は何の花が好き?」
「…チューリップ…だけど。」
「そっか…わかった…。」
全然、わかってないっっ…!
「…ダメ…だよ?!」
「…何が?」
「プレゼントは…もらえないよ?
それに会わない…。
新井くんには、もう会わない。」
そんなのもらったら…
受け取ってしまったら…。
「なら、学校に持っていく…」
「…え、学校…?」
「……うん、学校で渡す。」
「…そんなの…困る…」
「…アハハ、冗談だよ…
じゃあさもう一度、笑ってよ。」
「…え?笑うって?」
「前にさ、紗和の笑顔があったから
頑張れたって…言ったよね?」
「うん…。」
"色々考えずに紗和らしくいればいいじゃん"
そんな風に言ってくれた人…
あなたが初めてだった…。
私らしくいられれば良かった…。
「俺……今、紗和の笑顔が見たい…。」
紗和って…本当にお人好しなバカだなって
思ったんだから。」
「……え、バ…バカ?」
私が目を丸くして新井くんの顔を見ると
彼はイタズラっ子みたいに笑って
私を見ている。
「もう…笑いすぎっ…」
私は少し拗ねた顔をして彼を見た。
どちらが年上なんだか…
私って…本当に貫禄がまるでない…っ。
はぁ……
落ち込んで小さなため息をついた私の頭を
彼は微笑みながら優しく撫でている。
「……っ…」
ふと、顔を見上げると
二人の距離がすごく近くなっている。
恥ずかしいくらいに…彼の顔が近くにある…。
「…っ…」
「だけど…好きだ。
そういう所が…好き。
紗和はずっとキラキラしてる…」
「…え…えっ…?…」
キラキラ………?私が……???
「…入学してすぐの時…
紗和が生徒と一緒に花を植えているのを
見た事があってさ…こう言ってた…。」
"この花を見て、誰かの心に花が
咲いてくれたらいいねっ…
チューリップは優しさを届けて
くれる花なんだよ"
「…あの日、そう言ってた…」
「………………っっ
私…そんな事言ってた?
よく覚えてるね…私…忘れちゃったよ。」
嘘…本当は覚えてる。
チューリップは私が好きな花だから。
花言葉は、"思いやり"…。
…あんな話を聞いてくれてたなんて…。
「…俺さ、ずっと…
子供の頃から空手ばっかりで
他の事には興味とか湧かなくて
いつも相手を倒す事ばっかり考えてて…
自分の知らない誰かの為に
何かするなんて考えたことないから…
本当、衝撃だった…。
こんな事を考えてる人がいるなんてさ。
その時からかなぁ…学校の花壇を見るたび
紗和の話を思い出すようになって
いつのまにか…
花壇の花を見るのが好きになってた…。
そしたら、少しずつだけど相手の事を
考えたりするようになって…
クラスで浮いてる奴に声かけたりして…
俺なりに色々やってたんだ。
ずっと、紗和に憧れてた。」
「…私に…?」
そんな…私…
憧れられるような人間じゃないのに。
だから…あのラグビー部とのケンカの時…
"花壇"って言ってたんだ…。
「クサイ事をいつも当たり前に思ってて
真面目で正直で明るくて優しくて…
そんな紗和の事がずっと気になってて…
あの日出会ってから、色んな紗和を知って
紗和の事を本気で好きになった。
俺は、紗和がどんな人か、わかってる…。
学校でいくら無視されたって…
俺の気持ちは変わらない…。
むしろ、紗和を追い込んでるのかもって…
不安になって…会いたくて仕方なくなった。
紗和と話がしたくて…触れたくて…。
だから今日は、紗和に本当の気持ちを
聞きに来た…。
こんな俺が、紗和を好きになる権利なんか
ないのかもしれない…。
でも、好きなのを止められない。
止められないから、紗和に許しほしい。
俺が紗和の事、好きなの…許してほしい。
…俺を選んでほしい。」
彼の腕の中で彼の心臓の鼓動を感じながら
彼の精一杯の告白を聞いていた。
ギュッ…
彼に再び抱きしめられる…。
…私の本当の気持ちを聞きにきたんだよね。
私は、彼から体を離して正面に向き直る。
彼が私の顔をじっと見つめている。
気持ちが押し潰されそうになるのを必死に
抑えつけた。
「わかった…私の気持ちを話す。
私…新井くんとは…
やっぱり付き合えない…っ。
私は教師だから、生徒にそういう感情を
持ってはいけないんだって思ってる。
沢山、無視して…ごめんなさい。
混乱させてしまってごめんなさい。
私は、新井くんを好きにはなれない。
だから…もう私を好きって言わないで。」
ハッキリと言わないといけないから…。
私は、教師であなたは生徒で
恋なんてしたらダメだって…。
「………それが答え?」
彼は、そうポツリと掠れた低い声で言った。
………ズキ…ン
これでいい……これでいいんだ。
なのに、胸が…苦しくなっていく。
「うん……。」
そう言って、彼を帰るように促す。
新井くんは、黙って玄関のドアに向かって
歩き出した。
彼が靴を履いてドアの前に立つ。
「……じゃあ、また学校でね。」
私は、そう言って手を振る。
彼は、切ない表情のまま私の顔を
じっと見つめて離さない…。
ズキッッ……
その真っ直ぐな瞳が胸に突き刺さる。
「……………………っ」
その視線に耐えられずに目をそらしてしまう。
「……薔薇の花束って知ってる?」
「…え?」
「あれって、花の色と本数で
意味も違うんだって…。」
何で、急に…薔薇の花束…?
「…あ、うん…知ってるよ……どうして?」
「さっき、花屋で聞いた…
紗和にプレゼントしたくて…。」
「……えっ?私に…?」
…どうして……?
「…誕生日、もうすぐでしょ?」
「…え?」
あ……そうだ…もうすぐ7月27日…。
「本当は…夏休みに入る前に…
アポ取りするつもりだった…。」
「…アポって…?」
「…誕生日に会ってほしい…って。」
「…だから…
それはダメだって…さっき言ったよね?」
「……紗和は何の花が好き?」
「…チューリップ…だけど。」
「そっか…わかった…。」
全然、わかってないっっ…!
「…ダメ…だよ?!」
「…何が?」
「プレゼントは…もらえないよ?
それに会わない…。
新井くんには、もう会わない。」
そんなのもらったら…
受け取ってしまったら…。
「なら、学校に持っていく…」
「…え、学校…?」
「……うん、学校で渡す。」
「…そんなの…困る…」
「…アハハ、冗談だよ…
じゃあさもう一度、笑ってよ。」
「…え?笑うって?」
「前にさ、紗和の笑顔があったから
頑張れたって…言ったよね?」
「うん…。」
"色々考えずに紗和らしくいればいいじゃん"
そんな風に言ってくれた人…
あなたが初めてだった…。
私らしくいられれば良かった…。
「俺……今、紗和の笑顔が見たい…。」