トシノサ恋 ~永久に…君に~
「今…

紗和がとびきりの笑顔を見せてくれたら

俺、もう諦めるよ…。」

とびきりの笑顔…

「…わかった…。」

ニコッ…

必死に作り笑いを見せる。

彼は、私の顔をじっと見つめている。

ニコッ…

ニコッ…

ニコッ…

…笑えない…。

新井くんは、ずっと私の顔を見ている。

「…新井くん……」

笑えない……

私がそう言いかけた時……

「……行こうっ…。」

「えっ?」

グイッ……っ!

新井くんは、私の腕を掴むと

玄関のドアを開けて走り出した。

えっっ……っ!

「ちょっっ、待って、新井くんっ!」

「……待たないっ!」

ハァハァ……

しばらく走ると新井くんは足を止める。

「……ハァハァ……新井くん…っ…

笑ったでしょ…もう、これ以上は…」

私が息をきらしながら彼を見上げる。
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