トシノサ恋 ~永久に…君に~
「…日向子……。」

私が新井くんから離れて日向子を

見つめた。

日向子は、私と新井くんを交互に

見ては、何が起こっているのか

分からないという様な表情だ。

「…え、え、……え、何…

どういう事……?」

日向子は、やっと口を開いたが

それは言葉にならないようだった。

「…あのね……っ、あの…」

私も、日向子に何から言えばいいのか

わからなかった。

暫く沈黙が続いた、その時……

「あの、俺…新井光と言います。

奥平紗和さんとお付き合いしてます。」

そう言って新井くんは、日向子に

頭を下げた。

日向子の顔がさっきより驚いた表情に

変わっていく。

「…え?付き合う?誰と?

ちょっ………紗和?どうしたの?

この子、誰なの?!」

「…日向子……ごめん…とりあえず…

後でちゃんと話をするから……っ。」

「…え…まって…君…いくつなの?」

「今…16…です…

あ、でも…今年17になります。」

「……はっ?え、高校生って事?

あ、それって、制服だ…よね?」

「はい…。」

それを聞いて日向子は、すべてを

悟ったような表情になって

私の顔を見た。

「う…うん……わかりました。

とにかく…もう遅いから、君は家に

帰りなさい……。」

そう言うと日向子は、私の腕を掴んで

アパートに連れていこうとした。

「……あのっっ!」

そんな日向子の前に新井くんが

立ちはだかった。

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