トシノサ恋 ~永久に…君に~
グイッ……

彼が、私の腕を捕まえると

正面に立って、私を見つめた。

目と目が合う……。

新井くんの真剣な表情を見て…

そんな彼から目をそらしてしまう。

「…紗和…俺を見てよ。」

「…何で…」

「何でって…

紗和に誤解されたくないから…」

「…誤解なんてしてないから大丈夫…。」

「…大丈夫じゃないじゃん…ごめん…

紗和を傷つけたなら謝る…ごめん。」

いい年して彼に意地悪して…

本当にバカ。

「……傷ついてないから…」

素直になれない…

だって…本当に傷ついちゃってるから…

大人の振る舞いしなさいよ…情けない。

これじゃ、彼に似合う彼女になれない。

姉とか…保護者とか…

似合わないって言われてるのが

恥ずかしくて…

…悔しくて…バカみたいに不安になる。

嫌われたくない…。

やっぱ…違うって思われたら…

私………………。

「もう一度…

俺と観覧車に乗ってくれませんか?」

「……え?」

「……観覧車…乗ろう。」

私の顔を真剣な顔で

ずっと見つめている新井くん…。

私に、もっと自信があったら……

あなたが好きって…胸を張れたら。

……素直になりたい。

ずっと…一緒にいたいって

素直に、そう言ってしまいたい。
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