トシノサ恋 ~永久に…君に~
「紗和…手を出して…」

「…え?」

新井くんがボディバッグから小さな箱を

取り出して私の手のひらに乗せた。

……え、何……?

私は、これが何かわからずに

暫くの間、じっとそれを見つめていた。

「……紗和、開けてみて…。」

「…う、うん。」

がさがさ……

「…え、これって……ネックレス…。」

「…うん、誕生日プレゼント…。」

え、これ…赤いの…ルビーだよね…?

誕生石って…事?

…え…高いんじゃないの??

「…え?何で?この前、花束もらったのに…

それに…ネックレスなんて…

こんな高そうな物…貰えないよ…っっ。」

そう言って、私がうろたえていると…

「……いいからっ!」

彼はそう言うと、そのネックレスを

私の首に着け、正面を向かせた。

そして私の顔にかかった髪を

耳に優しくかける。

「…似合うじゃん。」

そう言って満面の笑顔を見せた。

…ドキン…

その笑顔にまた胸が跳ね上がる。

「……本当に…いいの?」

「…だから、大丈夫だから…っ!

そんなに高い物じゃないし…

バイト代から買える範囲だからさ…。」

「…本当に?…無理してないよね?」

心配でもう一度聞くと…

彼は少し怒ったような表情になった。

「……新井くん?」

「…あのさ、少しは無理させてよ…

俺、年下だし、紗和にとっては

生徒でもあるんだろうけど…

俺にとって、紗和は、彼女だから…。

誕生日くらい無理したいんだよ。

初めてのプレゼントだし……

ちゃんとした物を

プレゼントしたかったんだよ…。

だから…子供扱い禁止。」

そう言って私の頭をポンっと触った。
< 160 / 210 >

この作品をシェア

pagetop