トシノサ恋 ~永久に…君に~
偽り
「お帰りなさ~いっ!」

観覧車から降りると

そのまま二人で並んで歩く。

「…今日は、ありがとう…

本当に楽しかった…。」

「…俺も、楽しかった。」

私達は、二人で顔を見合わせて笑った。

今日のデートの話をしながら歩き続け…

「……だね……」

「……うん……」

急に、沈黙が二人の間に流れていく。

この後…

今日は、もう帰った方がいいよね…?

それとも、もう少しお茶する?

でも、遅くまではマズイよね……。

本当は、一緒にいたいなんて……言えない。

そんな事を考えていると

「……今、何時かわかる?」

急に新井くんが声を上げた。

「……えっと…もうすぐ20時……かな。」

「…そっか……」

新井くんも、迷ってる…?

なら、私から……ちゃんと切りだそう…。

「……じゃあ、今日は……」

その瞬間…

また手と手が触れそうになった。

私が思わず…

また手を引っ込めようとした時…

ギュッ……

新井くんがその手をギュッと握りしめた。
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